記事を開いてくださり、ありがとうございます。茶三楽の店長、池田と申します。
茶三楽は、10周年を迎えることができました。
10年前から変わらず大切にしているのは、「お茶を通して、心豊かな時間を過ごしていただきたい」という想いです。
お茶は、美味しいだけではありません。人と人をつなぎ、会話や出会いを生み、心を豊かにしてくれるもの。そんなお茶の持つ力を感じていただきながら、日本や京都の文化にも触れていただきたい。そんな想いから茶三楽は始まりました。
当初は、お客様の目の前でお茶を淹れながら、お茶のことや淹れ方をお話ししたり、ランチや茶道体験にも取り組みました。その後、オンラインストアやテイクアウトなど、時代やお客様のニーズに合わせて形を変えてきました。
その中で、私自身にとって大きな転機となったのが「かき氷」です。

夏の暑い時期にも、お茶を楽しんでいただきたい。お茶を通して涼を感じ、心豊かな時間を過ごしていただきたい。そんな想いからの挑戦でした。
今では日本だけでなく海外からも、かき氷を目的に訪れてくださる方がいます。振り返れば、茶三楽はこうした変化や挑戦の積み重ねで10年を歩んできました。
そして、私自身も変わりました。
10年前は、自分が頑張れば茶三楽を良くできると思っていました。でも今は、スタッフや茶農家の皆さま、業者の皆さま、そしてお客様など、たくさんの人との関わりの中で茶三楽はつくられていると感じています。
「自分がつくる店」から「みんなでつくっていく店」へ。それが、10年間で自分自身が大きく変わったところかもしれません。
一方で、変わらないものもあります。
10年という時間の中にはコロナ禍のような苦しい時期もありました。人のいなくなった嵐山を歩いたとき、普段は多くの人で賑わう場所が静まり返り、山や川、風、季節の移ろいがいつも以上に感じられました。
そのとき、改めて「嵐山って、すごくいい場所だな」と思いました。
嵐山は平安時代から、自然や季節を楽しみ、暑い時期には涼を求めて人が訪れてきた場所です。
人がいなくなっても、季節は巡り、その時々の美しさを見せてくれる。嵐山には、そんな変わらない魅力がありました。
何百年もの間、人を惹きつけてきたものが、今もここにあります。

日本茶や茶道も同じです。私たちが生み出したものではなく、長い年月をかけて、たくさんの人が大切に受け継いできたものです。
私たちが茶三楽を続けられる時間には限りがあります。それでも、お茶や茶道は、その先も残っていく。
だからこそ、先人から受け取ったものを今の時代に合わせて伝え、次の世代へ渡していく。その途中に私たちがいるのだと思っています。
これから大事にしていきたいのは、茶三楽に関わるすべての人が豊かになること。
お客様に豊かな時間を過ごしていただくこと。働くスタッフにも、ここで働いてよかったと思ってもらうこと。そして、茶農家や関わってくださる皆さまにも、茶三楽と関わることで豊かになっていただくこと。
変えるべきものは変えていく。
変わらないものは大切に守っていく。
そして、嵐山の豊かさや、お茶の文化を次の世代へつないでいく。
いつか100年以上続くお店へ。
そして、嵐山を訪れたときに「また茶三楽に帰りたい」と思っていただける場所へ。
10年間、本当にありがとうございました。
これからも茶三楽らしく、変化を続けながら、一歩ずつ歩んでいきます。


